私はトルコで医療通訳をしております、間(はざま)と申します。医療通訳をしておりますと、旅行保険の大切さというのを間近に感じます。保険は万が一のためのものですが、元気な若者であっても、意外な事態というのに直面してしまうことがあるのです。
トルコルアーの最中に突然の耳の痛み、病院へ
2012年の2月末、大学4年生のOさんは大学の友達と二人で、トルコの世界遺産を回るツァーに参加しました。ツァーは8日間で6つの世界遺産を回るもので、日程は少し忙しいものの、同じツァーに参加している人たちも楽しい方が多く、とても楽しいものだったそうです。
最終日の朝、Oさんの耳に痛みが走ります。水を飲んでも痛むような状況で、夜の帰国便に乗る前にお医者様に診てもらい薬を処方してもらった方がいいだろうということになりました。添乗員さんを通して保険会社に依頼し、通訳を手配して病院にかかることにしました。
ここから、私がお手伝いをすることになりました。行った病院は、総合病院で耳鼻咽喉科もあるドイツ病院でした。この病院は、保険会社のキャッシュレス・メディカルサービスが使えます。
20世紀初頭に建てられたヨーロッパ風の重厚な建築物の中にある、モダンな診療室にいたのは、見事な白髪に山羊髭のお爺さん先生でした。問診、喉や耳の診断をして、出た診断は中耳炎でした。処置は、注射をして処方された薬を飲むこと、完全に治るまでには2-3週間かかります、と。
そこで、
「今晩帰国するので、日本に帰ってからも薬を飲み続ければ良いですか?」
と無邪気に質問したところ、ショックなことをにこやかに告げられてしまいます。
診断結果は中耳炎、治るまで飛行機搭乗はNG
「中耳炎が治るまで飛行機に乗ることは許可できないよ。聴覚を失ってしまう恐れがあるから。耳が聞こえなくなったら困るだろう。3日に一度、診察するから、来てね、治ったら、ちゃんと帰れるから。さっきも言ったけれど、2~3週間で治ると思うよ。」
ということは、2~3週間、旅程が延びてしまう、ということなのです。Oさんは、もちろん聴覚を失うよりはと、滞在を延ばすことにしましたが、いろいろな問題が出てきました。
所持金がない!どうする?滞在費用
何よりも大きいのは、旅程の最終日であったために所持金が心もとない状況でした。どのくらいの滞在になるのかもわからないため、就職先の入社式に間に合うのかどうかも、不安でした。耳の痛みを一瞬忘れるほど、いろいろな問題に押しつぶされそうになっていました。
とりあえず、保険会社にお医者様の診断と、今後通院する必要があること、今晩の飛行機に乗る許可が医師から出なかったことを伝えました。
中耳炎が治るまでのホテル代とその他滞在費用、航空券代金も保険でカバー
医師からの診断書等を保険会社の医師が検討した後、医療上やむを得ない状況での滞在延長のため、滞在期間のホテル代は保険でカバーできるとのことでした。滞在費用に関してもケアされることがわかり、私もほっとしました。
結局、3日に一度通院しつつ、治癒を待ち15日後の飛行機に乗って帰国できたOさんは、入社式にも無事間に合ったそうです。
今回、旅行傷害保険をかけていたおかげで、医療費はもちろん、予定外に延びた滞在のホテル代、変更しなくてはいけなかった帰国便の飛行機代も保険でカバーされました。中耳炎、子供のころによくかかる病気のように思っていましたが、意外と侮れません。
若くて健康だし、ツァーだから事故の心配も少ないだろうと思われるかもしれませんが、旅行傷害保険は大事です。アクシデントも、無事に処理できれば楽しかった旅行の思い出の一部になりますから、備えておくに越したことはないですね。