北京で中耳炎、カードの旅行保険で名門病院へ

北京協和医院
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飛行機を降りた直後から、左耳の調子が悪い。

「気圧の変化のせいだろう。すぐに治るさ。」
そう思っていた。
しかし、治るどころか調子が悪くなる一方だ。北京に着いてから丸2日が経つのに。

飛行機から降りてからの耳の不調、さらに吐き気やめまいへ

2012年の夏、北京へ気ままな旅に出かけた。宿泊先のNovotelは王府井に程近いホテルで、どこへ行くにも便利なロケーションだ。

昼食は北京っ子にも評判が良い、水餃子専門店にする。メニューは餃子だけだが、バリエーションがすごい。ベージックな白菜と豚肉、ラム肉とトマト、セロリと炒り卵、きのこの精進餡まである。

もくもくと茹で上がる餃子の湯気と共に、大量の香草独特の香りが襲ってきた。普段は時に好きでもないけれど食べられる薬味の香りだ。でも今日は違う。攻撃的で不快な臭いに感じて、食欲が吹っ飛んでしまった。

吐き気がする、耳がうずき、軽いめまいがする。耳の奥で脈打つ音がドクドク鳴っている。どうやってホテルに戻ってきたのかもわからなかった。

エポスカードの受付センターで病院を紹介してもらう

私が持っているエポスゴールドカードには、300万円までの疾病治療費用補償が付いている。ベッドに寝転がったまま、スマホでエポスカードの”海外旅行保険事故受付センター”を検索する。

受付センターで病院を紹介される。冷戦以前にロックフェラー財団が設立した、名門”北京協和医院 国際医療部”だ。

名門”北京協和医院”で、診察と治療を受ける

清潔感のある病院だ。きっと設備も充実しているのだろう。

日本語が話せる医師の丁寧な診察

日本人医師が夏季休暇中だったので、日本語のできる中国人医師が診てくれた。この医師は三か国語が話せるらしい。
「中耳炎ですね。まず点滴をしましょう。それから抗生物質を出しておきます。化膿からの発熱があるようですから辛くなったらこれを飲むように。」

流暢な日本語での診察は、日本の病院となんら変わりはない。先生は普段は英語と中国語で診察をしているそうだが、日本人医師が休みの時は、日本語での診察もするそうだ。(編集部注:2012年の秋、日本語ができる医師の常駐はなくなりました)

「いま夏休みでしょう、日本人の駐在員の家族ほどんど日本に帰ってるね。日本人先生も毎年この時期にお休み取るのよ。喉には痛みはない?北京は日本より乾燥してるからね。喉に効くのも処方しておくね。」

このおじいちゃん先生は只者でない。

点滴中に食事が出る、しかも好きなメニューが選べるく

点滴の準備中に、昼ご飯は食べたのかと聞かれた。

差し出されたのはテイクアウトのメニューだ。マクドナルド、吉野家、北京ダックで有名な全聚徳、あとは真功夫という中華料理のファーストフード店。どれでも好きなものを頼んでいいらしい。

これって入院なのか?。医療通訳の李さんに聞くと、
「この病院で点滴する場合は時間がかかるので食事がついています。もしご飯食べたくなければ甘いものもあります。」
とダンキンドーナツのメニューを見せてくれた。李さんの
「ただです。」
に背中を押され、吉野家の牛丼セットとドーナツをお願いした。

抗生物質、のど飴まで保険でカバー

数時間を病院で過ごし何とか調子をとり戻した。李さんが会計などの事務手続きをしている間、先生に処方してもらった薬を見て驚く。”京都念慈菴枇杷潤喉糖”と書かれてある。台湾の老舗の喉飴だ。これも旅行保険でカバーしてもらえるのか。

お昼ご飯とおやつとのど飴。これが北京の富裕層向けのサービスか。至れり尽くせりだ。

自己負担なし、立替なし、サインするだけのキャッシュレス

会計の処理をしてくれた李さんに書類の事など確認する、私からの支払いはなく、保険料の立替もなし。必要な書類にサインを済ませる。

病院を出て北京医療の現実を目の当たりにする

病院を出てすぐに目に留まったのは、とても綺麗とは言えない身なりのふたりだった。顔も、体も歩けないほどむくんで腫れあがった子供と、その母親らしき女性だ。手にもつダンボールには
「この子は肝臓移植が必要です、私たちには治療費がありません。助けてください。」
と書いてあった。

この国には、私が受けたような医療サービスを受けることができる人々もいれば、この親子のような人々もいる。

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