2014年7月よりロンドンに2年間住むことになり、渡航前にAIU保険会社の海外旅行保険サイトから、1年間の保険に加入しました。保険料は188,730円でした。
以前に短期の海外旅行で、ハワイで他人のカメラを壊した時や中国で食中毒になった時、空港で荷物が届かなかった時などに保険に助けられたので、少々高額でも加入する予定でした。
インターネットから出国2日前に申し込み、その日のうちに加入できました。
2015年5月、就寝後に突然の腹痛があり、差すような激しい痛みが朝まで続き一睡もできませんでした。急いでAIUの契約書にある電話番号に電話をし、すぐに近くの病院を数カ所紹介してもらいました。Skypeの国際電話ができるプランに加入していたので、Skypeで電話をかけました。
激しい痛みが持続したことや、痛みの部位から、胃潰瘍や胃穿孔の可能性もあると思い、上部消化管内視鏡検査ができるHospital of St John and St ElizabethのNippon Club Medical Clinic (日本クラブ北診療所)に翌日受診しました。
内視鏡検査の日が週2日だけで、初診日は検査できず、翌週になりました。受診時には、痛みはありましたが、歩けるくらいになっていたので、胃薬を飲んで様子を見ることになり、ピロリ菌や貧血チェックのための採血検査を受けました。ピロリ菌は陰性で、血液検査も異常なしでした。
通院にかかるタクシー代はいったん自分で払いました。領収書をもらい。あとから治療代請求書の紙と一緒に送ると、郵送してから約2週間後に指定の口座に振り込まれました。振り込みのメールも届きました。
翌週の上部内視鏡検査は、患者1人にスタッフが4人ほどついて、至れり尽せりでした。鎮静剤を使っていたので、全く痛みやしんどさがないまま検査は終わりました。結果は特に異常なしでした。
初診日にAIUの契約書を提出し、記入用紙1枚書いただけで保険書の提出は求められませんでした。治療費や薬剤費も後日保険会社から支払われるということで、患者の負担はありませんでした。
その後、機能性ディスペプシアの可能性があると言われ、胃薬とブスコパンを飲んで食事制限をしてました、しかし多少症状は軽くなったものの、同様の症状が続き、産婦人科疾患を疑い日本人の産婦人科専門医がいるJapan Green Medical Centre-City (ジャパングリーンメディカルセンター シティクリニック)で診察をしてもらいました。産婦人科疾患を疑ったのは、家族歴があったからです。
同年6月、産婦人科でにエコー検査をしてもらったところ、腹痛に直接関係ないものの産婦人科疾患が見つかり3ヶ月に1回通院することになりました。
1年間で保険は切れ、同様の保険パッケージで更新をしました。更新の際に必要な書類は手書きで、インターネットからは更新できませんでした。保険の書類は海外輸送できないと言われたので、日本にある実家に送ってもらい、実家から書類をイギリスに郵送してもらう必要がありました。
申し込みをしてから約1週間後に保険の書類が日本の実家に届きました。それを両親に郵送してもらい、申し込みから約2週間後にイギリスで受け取ることができました。
イギリスの医療制度はNHSという、医療無料の制度を導入しています。しかし、待ち時間が非常に長い事や、医療の質が悪い事を友人から聞いていたたので、病気になった時はパブリック病院のNHSではなく、プライベート病院にかかりたいと思っていました。
パブリック病院では、国の医療費を抑えるために、最初にGPのず診察を受けます。GPとは、日本で言う家庭医やプライマリケア医にあたります。
技術がある医師や後期研修が終わった医師は、給料が高くて過酷な労働条件ではないプライベートの病院で働きたがるので、必然的にGPは移民の医師が多く、医療の質が落ちます。
また、毎日大量の患者さんを診察するので、診察時間は短く身体診察や検査もないことが多いです。緊急性がないと判断された場合、たいてい4時間以上待たされます。GPが専門の科にかかる必要が有ると判断して紹介状を書かないと、患者は専門の科の医師に診てもらうことはできません。
大学院に通っていた友人が大学構内で頭を強く打ち、一時的に意識不明となり救急車で大学付属病院に運ばれました。大学付属病院で同じ敷地にあるのに救急車が来るのに20分かかり、さらに運ぶのに15分かかりました・病院に着くとERにベッドがないため、車椅子に座って2時間外で待たされました。CTを撮るのにさらに2時間かかり、ERとはとても言えない対応の遅さでした。
別の友人は頸部リンパ節が徐々に腫脹して、40度の高熱が持続したため、パブリック病院を受診しました。初診日は採血してもらえず、細菌感染でしょうと言われ、ペニシリン系の抗菌薬を渡されました。10日後のフォローの日にさらにリンパ節が腫脹し、増悪していたので、やっと採血検査を受けることができました。日本のように採血の迅速検査は基本的には出来ないため、採血の結果は通常1週間後のフォローの診察時に伝えられます。
ところが、採血結果を聞くはずだった7日後の日に、看護師より前回採った採血の検体を無くしたのでもう一度採血しなければならないと言われ、ました。再度採血をして、結局採血結果が分かったのが、発症してから3週間目でした。結局、全く改善しなかったため、友人は母国イタリアに帰り、検査を行い、結果、伝染性単核球症というウイルス性の感染症であることが判明しました。ちなみに、この疾患はペニシリン系の薬で皮疹が出ることがあり、今回幸いにも皮疹は出ませんでしたが、ペニシリン系抗菌薬は禁忌の疾患でした。
このように、パブリック病院では対応がものすごく遅く、検査はなかなか施行されません。また、GPは全ての疾患を診るのですが、スペシャリストではないため、誤診も多々あり医療の質が日本とは比べものになりません。すぐに専門の科のスペシャリストに診察してもらえて、採血結果も同日に分かる日本の医療とは異なることを理解しておく必要があります。また、医療ミスがあっても病院側はなかなかミスを認めようとしませんし、日本人の患者が外国で訴訟を起こすのは容易ではありません。
プライベートの病院は予約制で待ち時間なくすぐに診てもらえること、医療の質が日本とほぼ変わらず院内が清潔感であること、ロンドンでは日本人の医師に診察してもらえること、すぐに専門の科のスペシャリストに診てもらえるなどのメリットがあり、保険料が多少高くても、個人的には加入をお勧めします。