転んで記憶をなくすが、旅行保険のおかげで医師の付き添いで帰国

私は、トルコで医療通訳をしております、間(はざま)と申します。医療通訳をしておりますと、旅行保険の大切さというのを間近に感じます。保険は万が一のためのものですが、どれだけ旅慣れている方であっても、意外な事態というのに直面してしまうことがあるのです。

転んで記憶を失ったTさんの話

2009年の5月に、お友達4人でトルコ半周12日間のツァーに参加されたTさんは、リタイヤされてから、12年間で20回以上ツァー旅行に参加されている方でした。

転んだ記憶さえ消えたTさん、頭が痛くて病院へ

イスタンブール観光中に、大理石の床の上ですべって転んでしまったのだそうです。頭を打った覚えはないとおっしゃり、外傷も見当たらないのですが、頭が痛い、ぼんやりするとのことで病院にかかることになりました。

MRI検査で前頭葉に内出血が見つかり入院

ドイツ病院で問診を受けたところ、MRI検査の必要があるといわれました。検査の結果、前頭葉に内出血がみつかりました。頭を直接打っていなくても、衝撃で内出血することがあるのだそうです。内出血が広がるようであれば手術が必要、そうでなければ徐々に引いていくのを待つ、どちらにしろ、様子を見る必要があるとのことでした。Tさんは、ツアーを離脱し入院されました。

ドイツ病院はすべて個室で、テレビや冷蔵庫も備わっています。調度品もホテルと変わらない感じの病室です。Tさんは、医師の説明にも頷きながら返事をされていました。夜早めにお休みになられたので私も安心して家に帰りました。

Tさん、病院から逃げ出そうとする

ところが、翌朝6時過ぎに病院から電話がかかってきたのです。Tさんが病院から逃げ出そうとしているからすぐに来るようにとのことです。

医療通訳者の私を「添乗員さん」と呼び、状況を説明してもすぐに忘れてしまう

慌てて病院に駆けつけると、Tさんはスーツケースをまとめて着替えをすまされて、ベッドに座っていらっしゃいました。私を見ると、「添乗員さん、今日の出発は何時ですか。」とお尋ねになるのです。

回診にいらっしゃった脳神経科の担当医の先生は、Tさんの内出血している場所がちょうど記憶中枢を司る場所であるために、記憶がすぐに混濁してしまうのだろうと説明されました。Tさんには、毎日何度か状況を説明するのですが、やはりすぐに忘れてしまうらしく、毎日、ご本人の中では違う国にいることになっていました。

幸い、内出血が広がることはなく、徐々に引いていけば、元に戻るという診断が出ました。ただ、時間がかかるため、付き添いの方を付けて、帰国して治した方が良いだろう、ということでした。

保険会社が手配した医師に付き添われ帰国

旅行傷害保険は、付き添いのご家族の往復の交通費や滞在費もカバーしてくれますから、ご家族の方に来ていただけないかと保険会社を通してお願いされました。ただ、Tさんのお子さんは働き盛りの方で、どうしてもすぐには来られないとのことでした。それで、保険会社は医師を手配し、医師の付き添いの下、Tさんは帰国されることになりました。

お一人で帰るのは無理な状態でしたが、医師が日本の病院まで付き添ってくれたため、安心な帰国となりました。

検査・入院費用、医師の付き添い帰国費用、すべて保険でカバー

三井住友海上の旅行傷害保険で、10日ほどの入院治療費、MR等の検査費に加えて、ご本人の医師付き添いの下の帰国費用のすべてがカバーされました。

私も、医療通訳を始めてから、私のところに来るお客さんや家族には、万が一の時の安心のために、必ず旅行傷害保険をかけてきてくれるようお願いしています。

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