私は、トルコで医療通訳をしております、間(はざま)と申します。医療通訳をしておりますと、旅行保険の大切さというのを間近に感じます。というのも、こちらでの医療費は非常に高額になることがありますが、旅行傷害保険をかけていれば、費用の心配なく必要な治療を受けることができるからです。
Iさん、家族でトルコ周遊ツアー中に体調不良に
2007年の5月に、会社を定年退職されたIさんは、息子さんご夫婦とトルコ周遊ツアーに参加されました。退職したら、海外旅行に行くとずっと楽しみにしておられて念願の初旅行だったそうです。
Iさんたちは、5日目に世界遺産にも選ばれている石灰棚で有名なパムッカレにいらっしゃいました。
うなじのこわばり、激しい頭痛、実はくも膜下出血
観光をしながら
「うなじの辺りがこわばるなあ」
とこぼしておられたIさん、夕方、ホテルの温泉プールでくつろいでいるときに、我慢できない程の頭痛に襲われます。あまりの痛みに、言葉も出ない状態でした。
ホテルのドクターに診てもらうと、すぐに病院で診察してもらった方が良いと言われたそうです。救急車を呼ぶよりも早いということで、ツアーグループのガイドさんと一緒に、ホテルに常駐しているタクシーで、県庁所在地のデニズリにある総合病院に行かれました。
診断は、くも膜下出血でした。うなじのこわばり、頭の激痛、言語障害はくも膜下出血の典型的な症状なのだそうです。発症した場合には時間が勝負、ということだそうですから、すぐに病院にかかったのは正解でした。
緊急入院、1週間後に開頭手術
Iさんは緊急入院となり、ご家族も一緒にツアーのグループを離脱されました。大学病院の教授も務める脳外科医が担当医となり、1週間ほど後に、開頭してのクリッピン手術が行われました。くも膜下出血は、手術後も予断が許さない病気なのだそうです。Iさんも、ICUでケアを受けていました。
私は、この時点でデニズリに行き、通訳を行うことになりました。それまでは、トルコ人のガイドの方が通訳をしていたのですが、やはり微妙な部分が通じないということで、日本人の通訳を希望されたのです。
手術は成功したが、2日後に合併症でこん睡状態に
医師からは、患者さんの耳元で呼びかけるようにと言われ、ICUに居られる限られた時間で、ご家族と交代でお名前を呼び続けました。手術後3日目に意識が戻り、声は出ないものの口を動かして、返事をしてくたさった時には、3人で小躍りして喜びました。
そのまま快方に向かうことを願っていましたが、合併症が出て、2日後にはまた昏睡状態になってしまいました。
2週間後にドクターヘリで空港に搬送、医療スタッフとともに出国
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その後2週間状況が変わらず、ドクターヘリで空港に搬送され、医療スタッフとともに出国されました。
日本でも、半年近く入院治療を続けられ、後遺症は残ったものの命はとりとめられたそうです。
高額な治療費等は、すべて保険でカバー
Iさんは、初めての海外旅行だからと、最大限の旅行傷害保険を三井住友海上でかけておられました。現地及び帰国後の治療費の全額、搬送費すべてが保険でカバーされました。また、現地での入院治療が長期にわたり、付き添いのご家族が一度帰国する必要がありましたが、その費用も保険適用されました。